フェラーリ
ポルシェのエンブレムの中の小さな盾とほぼ同じです。相違点は、フィールド上部の緑・白・赤のストライプ(イタリア国旗と同じ配色)と、フィールド下部の 黒字のFerrariもしくはSF(フェラーリが運営するレーシングチームであるScuderia Ferrariの頭字語)だけです。
フェラーリのエンブレムは、第一次世界大戦で活躍したイタリア空軍パイロットであるフランチェスコ・バラッカが、自分の戦闘機に付けていた跳ね馬のエンブレムに由来します。
なぜバラッカが跳ね馬のエンブレムを使っていたのかははっきりとしません。ですが一説によると、撃ち落としたドイツ軍の戦闘機に付いていたシュトゥットガルト市の紋章を借用したのだそうです。もしそれが事実だとすると、ポルシェのエンブレムとフェラーリのエンブレムは共通の由来をもって いることになります。
メルセデス・ベンツ(ダイムラー)
メルセデス・ベンツのエンブレムは紋章とはあまり関係がないのですが、よく見かけるエンブレムです。 ダイムラー社は何度か合併と分裂を経験していますが、元々はダイムラーとベンツが合併してできたメーカーです。
三つの放射線をもつ星はダイムラーのエンブレム、外側の円はベンツのエンブレム(元々は月桂冠でしたが、現在ではただの円)が由来です。
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マセラティ
赤い三つ又の道具のように見えるものは、トライデント(trident)と呼ばれる三つ又の槍です。トライデントは海や水の神であるネプチューンのシンボ ルとして知られています。
マセラティの本社があるボローニャには観光名所としても有名なネプチューンの噴水(ネプチューンの銅像が建っています)があるため、トライデントをエンブレムに採用したそうです。
トライデントを採用した紋章としては、ウクライナの国章があります。ウクライナの起源となったキエフ大公国の大公たちがトライデントを図案化したシンボルマークを使っていたため、国章に採用したそうです。 三つ又ではない槍を採用した紋章としては、シェイクスピア家(スピアspear=槍、という一種の駄洒落です)やモスクワ市の紋章が挙げられます。
最後に、日本車のエンブレムも取り上げます。
MITSUBISHI
三菱のスリーダイヤは、土佐藩主山内家の家紋(土佐柏、あるいは丸に三つ細柏)と土佐藩の地下浪人であった創業者・岩崎弥太郎の家紋(重ね三階菱)を折衷したものです。家紋を基にしているという点で、欧米メーカーの紋章的なエンブレムと近いものだといえると思います。
SUBARU
また、スバル(富士重工業)のエンブレムは昴(プレアデス星団)を図案化したものです。 いずれもデザインは単純ですが、メーカーやブランドの由来を図形で表現したいいエンブレムだと思います。
文責:かめ