とりあえず,BAILAとnon・noを電子媒体で読んでみた感想。
閲覧環境
PC(WinXp)とスマートフォン(アンドロイド)
まず,pcから感想を述べると筆者のPCスペックがあまり高くないせいか,読み込みにやや時間がかかる。デジタル処理されているだけあって,当然綴じ部分の見づらさは解消されており,見た目は美しい。それから,デジタルなので女性ファッション誌に独特のあの重量に耐える必要はない。
次に,スマートフォンから閲覧した場合はページ送りはPCに比べてスムースであった。ただ,画面が小さすぎてキャプションを読もうとすると拡大しなければならず,これが意外とめんどくさい。
メリット:持ち運びが楽,雑誌がたまって困ることはない
デメリット:興味のないページを数十ページほどまとめてすっとばすのが無理ではないが困難,集英社の場合はローカルに保存できない仕様になっている,所有欲が得られない,コレクション性が失われる
メリットとデメリットが相反している結果となったが,ようするにメディアとしては互いに補完的な役割を担っているのだと思う。個人的には,とくに所有欲というのが重要だと思うんだ。もっとも,上野千鶴子が指摘しているようにファッション誌にかぎらず雑誌というものは読み捨てが前提にされてきたのであって,古いファッション誌は(歴史史料としての価値はあるが)最新の流行をチェックするというファッション誌本来の役目はとっくに終えているのだし,多くの読者は捨てているのかもしれない。けれど,筆者のような雑誌マニアは少なからず存在していて,そういう立場のものからすれば保存してコレクションできないというのはものすごく物足りない(頑張れば保存できないわけではないが法的にそのあたりはどうなっているのだろうか)。ファッション誌というのは,グラビアをあのA4変形版という大きなサイズで見ることに醍醐味があるし,それはPCモニターの大画面化で単純に補えるものではないと個人的には思っている。
ファッション写真というのはアートだと思う。たとえば『VOGUE』などは数十年前に刊行されたものであっても未だに見ごたえがあるし,ちょっとした写真集として楽しめる(フォトグラファーも皆超一流だからね)。日本の大衆向けファッション誌だって,VOGUEほどのアーティスティックな価値があるわけではないけれど,時代を映してきた鏡としての価値は何年経とうが色あせることはないし美しいものはいつ見ても美しい。
昨今の電子書籍ブームに鑑みればこれも時代の流れ,抗うことはできない。有りか無しかといえば有りだと思う。保存できるようになれば評価は変わるかもしれない。完全な電子化ではなくて紙媒体も用意されており,読者は好きな方を選択できるのは高評価。まだ実験段階だからなのかもしれないが,出版不況とはいえ紙媒体をなくさないでもらいたい(https://www.fujisan.co.jp/で年間購読すれば電子媒体は無料で読めるらしい)。